ミャンマーのお葬式(仏教)

先に悲しい話を書きましたが、義弟が亡くなり、ママさんが緊急帰国してお見送りをしてきました。そのときの様子を伝えてくれたので、ビルマ仏教の話題として、日本のお見送りと比較してお伝えしたいと思います。

※貧しい人や身寄りのない人のお葬式を支援しているKyaw Thuさんのことを尊敬をこめて少し追記しました。

よく、ミャンマーへの進出をすすめる経済誌などで「ミャンマーは仏教徒が多い国なので、日本人ともよく価値観が共有できる」というような趣旨の文章をみます。

しかし、カトリックとプロテスタントの差と同様、ミャンマーの上座部仏教と日本の仏教(主に大乗仏教)とは、日常においても、また、葬送のような儀礼の部分でも大きく違います。今回はお見送りに注目してみます。

日本では、昨今、「直葬」というもあるようですが、従来型の仏式のだいたいの流れとして、

  1. 多くの人が病院でなくなり霊安室に安置される
  2. 葬儀社などへ、亡くなった人を自宅や葬祭場などに搬送したり、お通夜や葬儀・告別式までの流れをしきることを依頼できる
  3. お通夜を行いお別れをする。(宗派により枕経などが読まれて仏教式の儀礼が始まるのもこの頃でしょうか)
  4. 葬儀でお別れをする
  5. 荼毘に付し、遺骨を持ち帰る(お寺さんに預けるなども)。火葬場には、行きと帰りでわざと違うルートを通ったりする
  6. 初七日など法要が続き、四十九日までにお墓に納骨

という感じで、残った人が拝む仏壇には仏像がありますが、基本的には亡き先祖に手を合わせて祈る、という流れの理解でよいのかと思います。

一方、ビルマ仏教に基づく流れを分かる範囲でまとめると、

  1. 最近の都市部では病院で亡くなり霊安室に安置される
  2. 亡くなった人を自宅に連れ帰ることはしない、直接、火葬場の霊安室に搬送し葬儀の当日まで保管する。ただ、日本のような霊柩車システムがないため、亡くなった人を運ぶのは家族の仕事となり、搬送用の車もまず借りられない(死人を載せられることを極端に嫌がる)ために自家用車で搬送する、などという話も聞きます。
    ※ 一連の流れを企画進行する葬儀社は、ミャンマーに進出するととてもよいチャンスがあると思います。とくに東南アジアで評判の宮作りの霊柩車など、VIPに人気が出ると思います。ミャンマーの国民的俳優だったKyaw Thuさんの主催するNGOでは、身寄りのない人や貧困層の葬儀を支援する活動をしているそうです。
  3. 日本では御霊前・御仏前を持参して葬儀に向かいますが、一方、ミャンマーでは参列者は基本的に現金を持参することはしません。「ティンガン」(僧侶の法衣)、「花」などを送ります。自宅届けても良いし、花は斎場あてに手配しても構いません。参列者は斎場に着くと、亡き人をしのぶ文言やお経の一説を書いた「うちわ」(会場にエアコンなどないため)、普段使えるような「お経集」を配られます(日本の香典返しのようなイメージでしょう)。
  4. 葬儀当日は、亡くなった人をストレッチャーをすこし豪華にしたような寝台の乗せ、新しいロンジー、シャツなどを最低限の着衣の上に乗せ、装束とします。周りを花で飾り付けます。日本の「おくりびと」のような役割を担ってくれる人々がいないので、すべて残った家族がやります。なので取り扱いなれていないため、新しい衣服に着替えさせたりすることは難しいので、亡くなった人の上に乗せる、ということになるようです。
  5. 上座部僧(葬儀のときは数名)の読経の中、家族は摘水供養(イエゼッチャ)を行います。ちなみに、日本で枕経にあたるものは、上座部僧の準備ができれば意識の確かなうちに枕元で僧侶がおとなえすることもある、という枕経本来の姿が残っているようです。枕元で意識があるうちの僧侶の読経を聞く、これは「安らかな旅立ち」や「死への恐怖が和らぐような」お経が選択されているそうです。
  6. ミャンマーの葬儀も松・竹・梅とあるようで、棺の材質が異なったり、利用できる部屋が異なったりするそうです。
  7. 読経が終了すると、棺に移します。そして日本と同じくお花をいれて飾りつけ、ふたを閉めます。日本のように、棺に釘を打つという習慣はないそうです。簡素な板の棺もあれば、チークの棺、おそらくその上にはもっと高価な材料のものもあると思われます。
  8. 荼毘に付します。(棺の種類よってかかる時間が違うので、料金が違うそうです。しっかりしてますね、ビルマ斎場・・・)
  9. 遺骨を取り上げたり、その後の処置は一切ありません。焼き上がりを目にすることも通常はありません。
  10. なくなった当日を1日目と数えて7日目にあたる日に、日本の初七日にあたる法要を僧侶を招いて行います。日本と違い、むしろこの7日間は自宅に魂が帰ってきてもよいように、24時間門や玄関を開けっ放しにするそうです。そのために男手がないところでは、警備の人を雇う必要があります。
  11. 土葬だった時代はお墓を作ることもあったそうですが、このところ政府の意向で都市開発に伴い、墓地が移動したり、接収されたりすることが多かったようです。ヤンゴンあたりでは昨今では寄りいっそう原始仏典に戻るかのごとく、市井の人には墓はありません。(※お墓を「絶対に作らない」という意味ではありません。ヤンゴンでもお墓を作る敷地を確保して、お墓を作る方もいらっしゃいます。しかしお墓に対するこだわりは日本式に比べると圧倒的にすくないのです。誤解を招く表現だったので追記させていただきました)
  12. 自宅の仏間には大きな仏像がありますが、その近くに亡くなった人の写真などを置きます。日々、仏像に向かいおとなえするお経は、亡き人達にも合わせて伝わる、というかんじでしょうか。

ミャンマーの仏教は、「日本と同じ仏教だから・・・」と一言で親近感をいだいたり、文化的に近い、と考えるのは早計です。上座部仏教は比較的、原始仏教に近い姿で、そして日本の仏教は伝承ルートを通じで「大乗仏教」とよばれる発展経路通じたもので、なおかつさらに宗旨・宗派へと細かく分かれてきて歴史あります。

私は上記ミャンマー方式にVIPサービス(笑)を使って、遺骨を集めてもらい、バガンのブーペヤーのほとりから散骨してもらうことを遺言しています(明日、明後日どうこうなる予定はないのですが・・・)。日本でやると「遺骨の遺棄」と「散骨」に明確な定義がないそうなので、残った家族や子供が犯罪者になってしまうといけません。。。

大きなエーヤワディ(イラワジ)川に乗って、アンダマン海に出た後は深層海底流に乗って世界を旅したいと想います。